文集1

□そばにいて
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夏の日の昼寝場所は、大抵廃屋の屋上の、人のこない暗がりと決めていた。
シカマルがいつもの昼寝場所へ向かうと、そこには珍しい先客が居た。
「お前も夏の日差しから逃げて来たのか?」
シカマルが隣に座りながら声を掛けると、その先客は「にゃあ」と答えた。
寝ている白猫に気を使いながら寝そべると、シカマルはそのまま空を見上げた。

本日ハ晴天也。

小さな雲がふらふらと漂って行くのをのんびりと眺めていると、不意に人の気配がした。白猫もソレに気付いたようでピクリと耳を動かしたが、どうやら見知った気配だったらしくまた眠ってしまったので、シカマルも放っておくことにした。

自分の飼い猫を探していると、普段行ったことも無いような場所に居ることが分かったので、どうせ昼寝でもしているのだろうから移動することもないと思い、散歩がてらにその場所へと寄ってみると、自分の良く見知った人物と一緒だった事に驚いた。
ネジは暫くそこから動けないでいた。
その人物と自分の探していた動物との組み合わせがあまりにも意外で、そして案外その光景が可愛く思えたことに、自分でも少し驚いていたからだ。
(……キス……したいな………)
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