文集1

□迎えに行くよ
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本当は、オレはここに居てはいけないんだ。
そう、わかっている。
だけど、お前が優しく、オレの名前を呼んでくれるから、ここは気持ちが良くて。「オレもここに居て良いんだ」なんて思ってしまう。
本当は、オレの居場所は、もっとずっと暗い下の方にあるっていうのに。
どうしてかな。そんな気分になってしまうんだ。
ありがとう。…ごめんなさい。



「………まさか本当に降るとはな」
どんよりと雨雲の立ち込めた空を見上げると、ネジはぽつりと呟いた。
「不味いな…油断して雨を凌ぐ物を持ってくるのを忘れていた……」
隣の里までの書類受け渡しという単純な任務だったので、必要最低限の装備だけで来ていたし、帰りも急ぐことは無いので歩いて帰るつもりでいた。
それがまさか予報通りの雨、しかも明日の朝まで掛かる大雨に足止めを食らうとは思ってもみなかった。
「今夜は宿を取るか…」
どうせここは木の葉の同盟国。寝込みを襲って暗殺ー、などは有り得ない場所だ。
まだ宿を取って休む時間には程遠いので、食堂で時間を潰すことにした。
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