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□グリレグリ詰め合わセット
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0...土星も木星も火星もちょっと遠いね。
そらを見る事が多くなった。
当然のようにそらには暗雲が立ち込めていて、そこから雪が降ってきて、なにがみえるわけでもなかったけれど。
この辺りの地域では最も高いと言われる山の頂上に立ってみたけれど、やっぱりそらは 僕には果てしなく遠かった。
誰にも言わずにこんな険しいだけの山の頂上にやって来たのは、僕が僕自身を知る為だった。
だけど実際この場所に立ってみると、余計に分からなくなった。
僕は本当は、ただ逃げているだけなのかもしれない。そらに一番近い場所へ登っても、結局そらは遠すぎて、土星にも木星にも火星にも手は届かない。
そんな自分がいやになって、そして届かないそらに手を伸ばすんだ。そこに何があるとも知れないけれど、ただただそらを見上げて手を伸ばす。せめて自分の目的はこれだったのだと言い聞かせるように。無駄じゃなかったと思うために。
そんなそらから、ある日一羽の鳥が降ってきた。
そしてぽかん、としているだけの僕を、彼は力一杯に殴った。
殴ってから、ぼろぼろと涙を零した。
「この 大馬鹿者が」
僕は星でも降ってきたかのようにちかちかとしていて、グリーンの顔がよく見えなかった。
ああ、多分これが、僕が知りたかったことだったんだ
と気付いた時には、僕の目の前は真っ白になっていた。
end