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□なのはにとまれ
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君の肩に止まるのは、ひらひらふわふわした昆虫。
僕は其れを払おうとして君に手を伸ばしたけれど、君は僕のその手を優しく掴まえた。そんな事をしては可哀相だ、と言って僕を止めた。

僕は君を昆虫から守りたかった。君が昆虫に連れていかれて仕舞いそうだったから。


ねぇ、其れは僕が貰ったんだから、勝手に持って行かないで。



伸ばした手は、君に払われて仕舞った。



其れでも君は肩にひらひらふわふわを乗せた儘、僕の事を抱き締めた。あいしていますと云って僕の背を優しく撫でた。


「此は僕が殺しますから」



僕がひらひらに手を伸ばすと、ひらひらふわふわが取れて落ちた。きっと、君を死に場所に選んだのだろう。もしかしたら本当に君が殺して仕舞ったのかも知れないけれど、僕にはもうどうでも良くなっていた。


君がここにいてくれるだけで、僕にとっては十分だったから。






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