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□可愛い人
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珍しく、2人きりになる事があった。
ジェームズはクィディッチの練習に、ピーターは変身術の補習(マクゴナガル先生が1人で来いと言ったので)にそれぞれ行って仕舞い、シリウスとリーマスは湖の近くの木の下でのんびりとした休日を過ごしていた。
「久し振りだね、2人きりって」
リーマスが大きく伸びをし乍らシリウスを見ると、シリウスは木の幹に寄り掛かり乍らそーだなと返事をした。
「暖かくて眠くなっちゃうねぇ…」
然う言ってリーマスが微笑むと、シリウスはまた同じ様に返事をしてからニコリと微笑った。
暫くの間、痛く無い沈黙が流れていた。2人の間を爽やかな風が通り過ぎ、2人の髪を揺らした。シリウスはリーマスの鳶色の髪が揺れるのを、どこか楽しげに見つめていた。
漸くシリウスの視線に気が付いたリーマスがどうかしたの?と訊ねると、シリウスは更に笑みを深めた。
「なぁリーマス、キスしてくれよ」
突然のシリウスの申し出にリーマスが呆気に取られていると、シリウスは急かす様になーなーと繰り返した。
「は…恥ずかしいよ」
リーマスが幾分小声で抗議すると、シリウスはぷいっとそっぽを向いた。
「じゃあもう良い。俺リーマスの事嫌いになってやるから」
「ちょ…シリウス!?」
突然のシリウスの子供の様な反応にリーマスは焦った様にシリウスを見たが、相変わらずシリウスはそっぽを向いた儘だった。
「そんな事で拗ねないでよ…」
「そんな事!?」
シリウスは過剰に逆上してリーマスを見た。
「お前は可愛い恋人にキスして貰えないっていう絶望的な現実をそんな事で片付けるのか?!」
幾らも言い過ぎに聞こえるシリウスの恥ずかしい科白に堪えられなくなったのか、リーマスはシリウスの顔を自分の方へ引き寄せた。
「い……1回だけだからね…!」
そう言ってリーマスは、シリウスの唇に自分のそれを軽く重ねた。
シリウスはしてやったりと心中で笑うと、リーマスの頬に手を添え更に深くまで口付けた。
リーマスがしまったと気付いた時には、既にシリウスの手中だった。





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