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□時間の無駄
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「…17……39…」

「なあジェイド、何数えてんだよ?」

「………58」

「ジェイドー、聞いてるかー?」

「今まで生きて来た中で、ボクの無駄にして来た時間。ざっと計算して約1月分…それだけあれば、ボクはもっと勉強が出来て、実験だって何度も出来たのに…」

「………ジェイドー、お前って本当、将来マッドサイエンティストになれるよな…そんな事言ったって、未来はたくさんあるだろー?」

「………君と話すこの時間さえもボクには惜しいんだ。少し黙ってて」

「………お前って難しいなー」





「…139……623…」

「なあジェイド、何数えてんだよ?」

「……756」

「ジェイドー、聞いてるかー?」

「今まで生きて来た中で、私の無駄にして来た時間ですよ。ざっと計算して約1年分…それだけあれば、一体どんな事が出来ると思います?」

にこりと笑ってジェイドが訊ねると、ピオニーは苦笑いで答えた。

「えぇっとー…お前の事だから実験とか実験とか実験とか?」

「……違いますよ。それだけあれば、あれを破棄しようと考え直せました。しかし私は、その時間を無駄に過ごして来たんです。そしてその儘、自分の研究が育って行くのを喜んで傍観していました。……今更遅いですね、こんな事言って…」

今まで黙って聞いていたピオニーが徐に立ち上がり、ジェイドの肩を抱き締めた。

「お前はさ…つまらん事をいつまでもぐちぐち考え過ぎなんだよ。勿論、忘れて良い事じゃないのは俺にもわかる。でもな、ここまで生きて来てたったの1年しか無駄にしてない人間なんていないぞ?……偶には、俺とこーして無駄な時間過ごそーぜー?」

「陛下の其れは、只構って欲しいだけでしょう?」

ジェイドがクスクスと喉を鳴らし乍ら訊ねると、ピオニーはバレたかと笑い乍ら頭を掻いた。

「………でも、偶には陛下の口車に乗せられてみましょうか…ね」

ジェイドはその儘ピオニーに擦り寄ると、胸に頬を寄せ眼を閉じた。

ピオニーは思わず顔を紅くし乍らも、ジェイドの肩をぎゅっと抱き寄せた。





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