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□あの子に銃と花束を
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純粋の象徴の様に
まるで穢れを識らない様な
更なる悲劇、穢れを生み出す道具と
対照的なしろとくろ
ふたつの色を、愛するあの子の元へ
嗚呼、此処へ来る迄随分と時が経った。
僕の手には、ふたつの贈り物。
ひとつは永遠のくろ。
ひとつは永遠のしろ。
嗚呼、此処へ来る迄随分と時が経って仕舞った。
穢れは汚れを更に増し、純粋は穢れに汚されて仕舞った。
僕はこのしろとくろとを、あの子に見せたかったのに。
しろは穢れ、くろはくろではなく成って仕舞った。
それでも此処迄来たのだから、あの子に逢わずに居れ無くて。
窓から顔を出したあの子へと
萎れた朱い薔薇の花束と、黒光りする人殺しの道具とを。
あの子は少し呆れた表情をしてから
僕を見つめてこう云った。
「愛しているよ」
然う云えば
僕はこの言葉を聴く為だけに
あの子に逢いに来て居ました。
朱い薔薇は僕
黒光りする人殺しの道具は君
君は無感動に引き金を引き
僕は朱い涙で穢れて往く。