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□チェリー
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「     」

そのひとことが欲しかった。

たったの5文字。それだけなのに、僕には果てなく遠い言葉だった。


「雲雀くん」

「雲雀くん雲雀くん」

僕をぎゅうと抱き締めて、さっきから君は其ればかり繰り返す。

「雲雀くん雲雀くん雲雀くん」

其れでも僕は嬉しかったけれど、僕はあの月並みな5文字の言葉が欲しかった。

「雲雀くん雲雀くん雲雀くん雲雀くん」

くるった様に君は其ればかり繰り返して、僕の耳元を暖かい空気で湿らせるだけ。

「…………ムクロ」

ねぇ。あのうんざりするほど吐きつづけたあまいことばをわすれてしまったの?

あのときは其ればかりで其れしか言葉を識らないのだと思っていたくらいなのに。

今になって、あの言葉が恋しくなっているんだ。

君の口から吐き出される、たったの5文字のあの言葉。

月並みだけど、僕が今一番欲しい言葉。



ねぇ、骸。


君はもう、


僕を


アイシテはいないのかなぁ



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