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□Happy birthday to you
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たまには

たまにはね

君を労ってあげようと思うんだ。



骸が雲雀の部屋へ入ると、部屋の中には家主の姿は見えなかった。
普段はなるべく家族との交わりの無い様に部屋から出る事は無いので、恐らく食べ物を調達する為に出ているのだと思い少しだけ待ってみる事にした。


暫く経ったがなかなか戻らない家主に、心配になって骸はゆっくりと下に降りていった。

居間の方へと近付くと甘い香りが漂ってきた。
中へ入ると、台所のオーブンの前に雲雀がしゃがんでいるのが見えた。
「良い香りですね。何か作っているんですか?」
「骸?もう来たの」
雲雀は少し驚いた様に振り返ると、再びオーブンに視線を戻した。
「……ケーキにしようと思ったんだけど…面倒だったからクッキーにしたよ」
雲雀が言い終わらないうちに骸が雲雀の上に被さる様に抱き付くと、雲雀はバタバタと恥ずかしそうに足掻いた。
「楽しみにしてますっ!」
「〜〜〜……大人しくしててよ」

暫くの後雲雀が可愛らしい皿の上に甘い香りを漂わせた小麦色のお菓子を乗せて現れると、骸は雲雀にニコリと微笑い掛けた。
雲雀は少し頬を染め乍ら骸と目を合わせない様にしてテーブルへと皿を置いた。
「恭弥、何故作って下さったんですか?」
にこりと微笑み乍ら骸が言うと、雲雀は相変わらず俯いたまま少し怒った様に言った。
「わかりきってる事わざわざ訊かないでよ…」
「良いじゃないですか。初めてなんですよ、僕」
他人に祝って貰うの。
骸がそう言うと、雲雀は意を決して顔を上げた。
「む……骸…」
「はい」
「た…たん……じょうび…オメデトウッ!」
「クフフフ…ありがとうございます、雲雀くん」
顔を真っ赤にして今にも火が出そうな雲雀の額に口付けると、骸は雲雀の焼いてくれたクッキーを手に取り口に入れた。
「雲雀くんは何でも器用ですね。すごく美味しいですよ」
「〜〜〜……そう…」
「紅茶が欲しいですね…淹れましょうか」



初めて祝って貰った誕生日というものが、存外に嬉しかったものだから

今度の君の誕生日には、素敵なサプライズを用意しておきますよ。



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