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□かさとポスト
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学校が終わってすぐに、ウルキオラは教室を出て校門へ向かった。
何か用事があるのか少し急いでいる様で、今朝降っていた雨の為に持って来ていた傘を教室に忘れて行ってしまっていた。
グリムジョーはそれに気付くと、ウルキオラの傘を持って彼の後を追い掛けた。
明日の天気予報は晴れだった。


ウルキオラは帰り道の少し離れた場所にある郵便局の前にある赤いポストまで近付くと、手に持っていた封筒を投函した。
そこでふと立ち止まると、手に傘が無いのに漸く気付いた。
ウルキオラは天気予報を見るのを忘れていた。
きびすを返して学校の方へと戻って行くと、彼方から見慣れたクラスメイトが歩いて来るのが見えた。
クラスメイトの手には自分の傘が握られていた。
「ウルキオラ!」
グリムジョーがウルキオラを呼ぶと、少し早足で近付いた。
「傘、忘れただろ」
傘を差し出して言うと、ウルキオラは無表情に受け取った。
「…今取りに戻ろうとしていた所だ」
一言それだけを言うと、ウルキオラはきびすを返した。
グリムジョーがウルキオラの肩を掴んで引き留めると、面倒そうに振り返った。
「ウルキオラ」
「…何だ」
「お前が好きだ」
「何だ藪から棒に。嫌がらせのつもりならもう間に合っている」
ウルキオラはグリムジョーを睨み付けた。
「違ぇよ。嫌がらせならわざわざ傘なんて持ってこない」
ウルキオラは困って俯いた。
「何のつもりだ」
「告白のつもりだ」
「…………」
「…………」
暫くの沈黙の後、ウルキオラは口を開いた。
「…数日待って貰えるか」
「待てば答えてくれるんだな?」
ウルキオラはこくりと頷くと、再びきびすを返して帰り道を辿って行った。
グリムジョーも家路についた。


2日後家についた手紙を握り締めて学校へと登校すると、グリムジョーはウルキオラを教室の中で抱き締めた。



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