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□夕日
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「………ねぇ、」

きっと僕は

「僕は 君を待っていたんだよ」




未だに冷たく刺す様な風が吹いて、その冷たさに雲雀は顔を上げた。
遠くに夕日の落ちるのが見えて、今日の日の終わりを告げていた。
雲雀は暫く立ち止まって夕日を眺めていたが、不意に背筋に悪寒が走り近くの橋の方へ目を遣った。
疑問に思い乍らも雲雀は橋を渡り、商店街の方へと歩いて行った。

商店街は何時も通りに人々が行き交い、流行りも廃りもしない店が点々と続いているだけだった。
ただひとつ 違和感があるとすれば、隣町の中学の生徒が3人程群れていた事位。
特に何をする様な風も無かったので無視して通り過ぎようとすると、真ん中の妙な頭の奴が何故か声を掛けて来た。
「こんな時間までお仕事ですか?仕事熱心なんですね、並盛中のボスさん?」
「………誰。何の用?」
気味の悪い奴だった。
「そうですね…黒曜中の頭…と、今は言っておきましょうか。君にご挨拶をしておきたくて。僕の殺気…感じてくださったから、君は此処に居るのでしょう?クフフ…どうやら、少しは楽しめそうですね」
そして、奇妙な奴だった。
「………どういう意味」
「クフフ…近々、またお逢いしましょう」
そう言って、其奴等は行ってしまった。


「やあ」

………ねぇ、

「よく きましたね」

きっと僕は

「ずいぶん探したよ。君がイタズラの首謀者?」

僕は

「クフフ…そんなところですかね。そして 君の街の新しい秩序」

君を待っていたんだよ

「ねぼけてるの?並盛に二つ秩序はいらない」

あの時妙に胸が高鳴ったのも

「まったく同感です。僕がなるから君はいらない」

あの時僕が動けなかったのも

「それは叶わないよ」

全部、君がいけないんだ

「君はここで咬み殺す」



僕が君にしてる なんて


その時は気付きもしなかった。




今日も 空は紅く染まっていた。
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