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□リング
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「お久し振りです、雲雀くん」
「………」
骸がにこりと笑って挨拶をするのに、雲雀は無言で用件を突き出した。
「僕、相変わらず嫌われてますねぇー」
のほほんとした口調で骸が云うと、雲雀は変わらず無言でソファへ腰を下ろした。
「…せめて一体此れが如何だから此処へ持って来たのかという説明が欲しいですねえ」
雲雀のだんまりに骸が苦笑を漏らしながら言うと、雲雀はメモ書きを差し出した。
「………あくまでも僕とは話したくないんですね」
骸は内心悲しくなりながらメモを受けとると、溜め息を吐いて渡されたボックスを眺めた。
どうやら術士によって封印が施されているようだった。
(…これはまた、厄介な事をしてくれていますねえ)
骸が暫く無言で眺めていると、雲雀は様子を眺めながらぽつりと呟いた。
「……解けそうなの」
「幻術関係でこの世に僕以上の人間はいませんよ。任せて下さい」
骸が微笑って言うと、雲雀はそう と納得したようにまた傍観を始めた。
「漸く口きいてくれましたね」
骸がボックスを調べながら嬉しそうに言うと、雲雀は再び黙り込んでしまった。
「僕ひとりで喋っていたら寂しいじゃないですか。世間話でもしませんか」
「君と話す事なんて僕には無い」
「そう言わずに」
骸はボックスを少し弄ると、瞳に一の文字を浮かべた。
「……だいたい、僕が話し掛けたら気が散るんじゃないの」
「おや、気遣ってくれたんですか?ありがとうございます」
骸がクフフと笑うと、雲雀はムッとして顔を背けた。
「だから君とは喋りたくなかったんだ」
「それは残念ですね。僕は雲雀くんと喋るのが好きなのに」
「……あ そう」
骸は右眼を戻すと、雲雀にボックスを渡した。
「どうやらこれは、霧系のリングを使って開けるものみたいですね…僕がこの前あげたリング、まだちゃんと持ってますか?」
雲雀はボックスを受け取ると、骸に手を差し出した。
骸が分からずその手をとると、雲雀は骸の手を払い落とした。
「何他人の手勝手に握ってるの」
「握手以外に何だっていうんです?」
「だから、霧のリング頂戴」
「………はあ?!ちょ、もう壊したんですか!?」
骸が驚いて言うと、雲雀はしれっとした態度で頷いた。
「〜〜〜…雲雀くん、もうちょっとものを大切にするという意識は無いんですか?」
骸が呆れ顔で言うと、雲雀は首を横に振った。
骸は立ち上がるとリングを探しに保管用の棚へ向かった。
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