文集1

□あしたてんきに………
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その日は晴れのち雨で、空気もどこかどんよりとしていた。
「やっべぇなぁ………こんなにびしょ濡れじゃあ母ちゃんに怒られちまう」
シカマルは、先程までチョウジ達と遊んでいたが、突然の(とは言っても新聞の天気予報には晴れのち雨と書いてはあったのだが)雨で中止となり、今は急いで帰宅している途中であった。
いつもと同じ、大型犬のいる家の角を曲がって大きな家の裏を通る道に、ふと、人がポツリと座り込んでいるのが見えた。
自分と同じくらいの歳に見える、黒くて髪の長い、額に妙な模様のあるその子は、雨が降っているにも関わらず、動く気配は微塵も感じられない。
このままでは風邪をひいてしまうと思い、雨のことを教える為に、シカマルはその子に近付いた。
「あのさぁ、アンタ………そのままだったら風邪ひくぜ?雨降ってんだからよ」
シカマルがそう言うと、その子は少し顔を上げてシカマルを見た。
「………誰だか知らないが………そういうお前こそ、風邪をひく………」
そう言った顔が随分と泣きはらした目をしていたので、シカマルは何故だか焦った。
「あー………その………すまねぇ………」
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