文集1

□one-sided love
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頭の中で、アイツの声がして目が覚めた。
ハッとして周りを見てみたが、アイツは相変わらずキバと話していて、俺の名前なんて呼ぶ筈もなかった。それに、もし俺の話題が挙がって、少しでも口にしたのだとしても、俺はこの距離から盗み聞き出来る程感度の良い耳は生憎持ち合わせてはいない。
隣にいるチョウジが不思議そうに俺を見ていた。
「なんでもねェよ」
そう言って笑って、また顔を伏せた。
それでもやっぱり、アイツ………日向ネジが、どんな話をしているのか、そっちの方に気を取られて眠れなかった。

可笑しいな。確か俺は、休み時間は寝て過ごすって決めてた筈だ。それが、何でネジの事ばっか考えてる時間に変わってんだ?………最近は休み時間に限った事ではなくなってきている気もするが……
ゆっくり顔を上げて、またアイツの方を見る。………見られていた気がした。丁度、ネジが視線をキバに戻す所だった。………慌てた様に。
………………まさか、な。


他のヤツの事なんか見ないで、俺の方だけを見て欲しい。
俺とだけ話していて欲しい。
アンタの声を、俺にだけ聞かせて欲しい。


そんな考えが、頭に浮かんだ。
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