文集1

□春色マゼンタ
1ページ/2ページ

恭弥。


恭弥きょうやキョウヤ。


キミは孤独を好む故、
あまりにも無色で。


何と呼べば良いのかもわからない
僕の欲を酷く掻き立てるのです。


キミを僕色に染める事が出来たら、

キミのその艶やかな黒髪も

果実の様な甘い唇も

そして、何よりその瞳を

僕色に染める事が出来たら。


あぁ、そうだ。それならやっぱり


この世界ごと深紅の血の海(僕の色)に


僕を最も苦しめたこの醜い冥界を


人間全てを血の海に沈めよう。

キミの逃げ場が無くなる位の、大きな大きな血の海。

そうしたらキミは僕に染まるしかない。


あぁ、早く見たいです。

キミのその揺らぐ事のない瞳が絶望の色で染まる様を。



……でも、恭弥。あまり落胆しないで下さい?

大きな血の海にはきっと綺麗な華が咲きます。


人の血を吸い色付くあの華

…そう、キミの好きな「サクラ」


絶望の大海の淵で二人
肩を並べて満開のサクラを見るのです。


…クフフ。ほら、今から楽しみでしょう?




.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ