文集1
□春色マゼンタ
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恭弥。
恭弥きょうやキョウヤ。
キミは孤独を好む故、
あまりにも無色で。
何と呼べば良いのかもわからない
僕の欲を酷く掻き立てるのです。
キミを僕色に染める事が出来たら、
キミのその艶やかな黒髪も
果実の様な甘い唇も
そして、何よりその瞳を
僕色に染める事が出来たら。
あぁ、そうだ。それならやっぱり
この世界ごと深紅の血の海(僕の色)に
僕を最も苦しめたこの醜い冥界を
人間全てを血の海に沈めよう。
キミの逃げ場が無くなる位の、大きな大きな血の海。
そうしたらキミは僕に染まるしかない。
あぁ、早く見たいです。
キミのその揺らぐ事のない瞳が絶望の色で染まる様を。
……でも、恭弥。あまり落胆しないで下さい?
大きな血の海にはきっと綺麗な華が咲きます。
人の血を吸い色付くあの華
…そう、キミの好きな「サクラ」
絶望の大海の淵で二人
肩を並べて満開のサクラを見るのです。
…クフフ。ほら、今から楽しみでしょう?
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