文集1

□君の雨僕の傘
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昨日も今日も、空には雨雲が立ち込めて大地を濡らしていた。
「雨、上がらないねー」
“お母さん”がそう言うと、窓から外を見ていた子供は振り返った。
「そうだねー」
子供はつまらなそうに返すと、また外を見始めた。
「みーくん、お外何かあるの?」
お母さんが訊ねると、みーくんと呼ばれた子供は少し考える様な仕草をした。
「あのね、ぼく、おそとにおもちゃ忘れてきちゃったかもしれないの…」
「だからつまらなそうだったの。お母さんとってきてあげようか」
みーくんはふるふると首を横に振ると、お母さんに言った。
「ぼく、ひとりで取りに行く!」
「そっか、じゃあ準備してあげるね」

玄関先に立ったみーくんは、黄色い合羽に黄色い長靴 手にはくまさんの耳のついた 可愛らしい青い傘を持った、典型的なお子様ルックで送り出された。

「お夕飯までには帰って来るのよ」
「うん!」

元気な返事を返して、少年は歩き出した。
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