4

□パートナー
2ページ/3ページ

パートナー という言葉は厄介だ。
仕事相手
相談相手
親友
恋人
何にでも当てはまる。
私達はパートナーだ。
そして
彼と彼女もまた、パートナーだった。


「どうしたんですか、そんな大荷物で」
帰って来るなり床に荷物を広げた音也に、思わず眉を顰めて訊ねる。
「実は今日、クラスのみんなに誕生会をして貰ったんだっ!でもみんなそのこと俺に教えてくれてなくってさ、屋上でギター引いてたら七海が大変だから早く来て!って呼ぶからびっくりしちゃったよ」
音也は幸せそうな表情で、照れくさそうに頭を掻いた。
「そうですか、良かったですね」
(この所やけに元気のなかった原因のひとつはこれでしたか)
元々他人と関われずに生きられない音也が、サプライズパーティのためにクラスメートから理由も知らされずに避けられていたとなれば、この数日のあの落ち込み方にも納得が行く。
「うん!それでさ、みんなにプレゼント貰ったんだけど、すごいんだよ!友千香からはお菓子の詰め合わせ、マサからは大音量の目覚まし時計、那月からは音に合わせて踊るダンシングくまちゃん!そんでね、七海からはこれ ギターの弦!しかもこんなに!正直一番驚いちゃった。だって俺、思わず見られてたのかなって思っちゃったもん。やっぱりパートナーだからかなあ…いつでも俺が一番欲しいものをくれるんだ。物でも、音でも、言葉でも。ほんっと、七海は最高のパートナーだよ!」
「……そう ですか、良かったですね」
音也の屈託のない笑顔と言葉。きっとそこに他意はないのだとわかってはいたが、どうしても素直に聞いてはいられなかった。
思わず机に置いていた紙袋を握り締めると、そのまま引き出しの中へと仕舞いこんだ。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ