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□僕はどこにいても決して幸せじゃないが、どこか現にいるところ以外の場所に行ければ、もっと幸せだろうといつも考えるんだ。
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さて。
真夜中を過ぎて、既にヒトの活動時間をぐるりと越えた。
夜な夜な起き出すのが、ここ最近の僕の楽しみだ。
こんなにも薄っぺらい檻なんて、僕にとっては無いに等しい。
廊下をゆるりと歩くが、面倒なので看守の位置は把握しておく。
目的地へと辿り着き、自然と笑みが零れる。
「っ、誰だ!?」
「クフフフフフ……こんばんは、イソーラファミリーのマルコさん?」
「……、お前は、カダヴェーレ…だな」
「クフフ…流石にこれだけ派手にやれば、噂は広まってしまいますかね」
相手が警戒心を剥き出しに此方を伺うのを、心地良い気分で受け止める。
何せ一週間振りなのだ。最近では僕を警戒して死刑宣告を出すのを渋る為に。
「さて。あなたはどう料理致しましょうか。随分と色々してきましたが、どれもこれも飽きてしまったのですよね」
「…何故、お前は俺を殺すんだ」
「おや。妙な事を訊きますね。それともあなたはジョルナーレをご覧にならないのですか。…そうでした。死刑囚には見せても無意味でしたね」
「死……刑…」
「そうです。これは僕の所為じゃないんです。世の中が、あなたを不必要だと宣告したのですよ」
僕はおかしくて笑いが止まらない。
そう告げた時のヒトのカオは、どうにも愉快でならないのだ。
「僕はただの処刑執行人ですよ。さあて、あなたはどんなふうにころされたいですか?」
なんて。既に精神汚染は始まっているのだ。プライドの高い人間程、精神崩壊までの道程が愉快なのです。
「あなたはどんなふうに壊れてくれますか?」




しかし、それもつまらなくなってしまいました。
何せそれしかする事が無いのですから。
「そろそろ脱獄でもしますかね」
どうやら面白そうなニュースが流れて来たので。
あのボンゴレ9代目が、漸く跡継ぎを決めた、なんて。最高に可笑しなニュースじゃないですか
「仮初めとは言えフィーリオを蹴ってまで見つけた跡継ぎ…会うのが楽しみですね」




end
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