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□僕はどれくらい君を思ってる?君はどれくらい僕を思ってた?
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「別にそんな事はどうでもいいんです。だって僕はこんなにも君に繰り返しているじゃないですか。それなのに君はいつまでもそんな態度で居るんですもんね。だからもういっそのこと止めてしまいませんか。あなたのその中途半端な優しさが、僕は吐き気がする程嫌いです」

そうして一方的に捲くし立てると、骸は踵を返して部屋を出て行ってしまった。
またか、と溜め息を吐くと、綱吉はすっかり重たくなってしまった腰を浮かせた。
最近になって綱吉は、より一層忙しくなっていた。珍しく守護者全員に次々と指示したりと少しばかり賑やかで、元来そういった組織的な行動が不得手な骸はストレスが溜まってしまったらしい。
その上彼に会えない所為で、余計にストレスが溜まってゆくばかりだったようだ。おかげで綱吉には心労ばかりが増えていた。
(しかし毎度の事とは言え、『吐き気がする程嫌い』は堪えるなあ…)
悪いとは思いつつもそうは言っていられない状況である。綱吉は再び溜め息を吐くと、骸に与えた個室の重たい扉を叩いた。

「おい骸、居るんだろ?」
「…消えて下さい。今君に会う気は無いんです」
くぐもったような声の返事があり、恐らくベッドに突っ伏しているのであろう事が分かった。
なんだか微笑ましくなってしまって思わず笑みを零すと、綱吉は再びノックした。
「オレが悪かったからさ。お願いだから、顔を見せて?」
「……、その手には乗りませんよ…あなたはいつもそういう事を言って本心を晒さないんですから」
「じゃあお前の部屋のドアノブを溶かして鍵諸とも使えなくして修理費をお前の給料から天引いてやろうか」
「……………………」
かちゃりと鍵の開く音がして、綱吉は笑顔で扉を開けた。
「最初から素直になりなよ骸」
「君相手に素直になったら何をされるか分かったものではありません。大体、僕は君を乗っ取ろうとしているんですよ。君こそこんな事をして良いのですか」
「骸がなにもしないって、知ってるし信じてるから。だからオレはここに来たし、お前と仲直りがしたいと思ってるよ」
骸は再びベッドに横になると、手の甲で目を覆った。
「だから、君のそういう所が嫌いなんですよ…とても卑怯で、ただの甘言で、それでいて根拠の無い自信と力に溢れている……本当に目障りです」
(それはきっと、お前が今まで暖かいものに触れて来なかっただけなんだと思うけど…なんて言ったら、きっと骸はまた腹を立てるんだろうな)
「だから、お前のそういう所が大好きだよ 骸」
「…………っ、僕は、君を乗っ取るのを諦めた訳では無いんですからね!」
そう言って骸が顔を臥せると、綱吉は今度こそ声を上げて笑ったのだった。



end
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