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□骸雲 約束の話
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突き抜ける程の蒼い空の下で、雲雀恭弥は真っ紅な液体を纏っていた。
季節は過ごし易い秋の空。朝方の太陽は未だ夏と見紛うばかりの熱を燦々と降らせていた。
雲雀はトンファーに付着した他人の血液を振り払うと、目の前で優雅に寛ぐ人間を睨み付けた。
「お久し振りです、雲雀恭弥君」
「…君なんて知らないよ。人違いじゃないの」
骸の訳の分からない暢気な科白に苛立ち乍らも、雲雀は冷静に睨み付けるだけだった。
「つれないんですね この世界の君は」
残念そうに言う骸に、雲雀は益々訳が分からなくなった。
「僕はこうまでして君に会いに来たのに」
「…何の話だい」
「思えば初めてお逢いした時も僕等は敵同士でしたね」
「………」
「もう1度 痛めつければ思い出して頂けますか?」
思い出すもなにも、自分はこいつとは初対面なのだ。雲雀は宇宙人と会話しているような気分になって、一々反応する事を止めてしまった。
「そういえば、僕の差し上げたあれは未だお持ちですか?」
骸は誰と会話をしているのか次々と自分の知らない話を持ち上げ始めた。
「多分、どこかにある筈ですよ。…今までもそうでしたから」
「……君、電波?」
雲雀が胡散臭そうに眉根を寄せて言うと、骸は途端に笑い出してしまった。
相変わらず変な笑い方だと雲雀は思った。
「君は、本当に面白い事を言ってくれますね!まあ、今はそれでも良いでしょう。…いずれ、思い出して頂けた時にでも堪能するとしましょうか」
骸は未だにクスクスと笑い続けると、雲雀は本気で不振物を見る目で言った。
「…君とはもう、口を利かない」




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