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□誕生日返し
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「約束通り、チョコレートを山ほどあげるから、1日で食べきって鼻血を出して出血多量で死んでね」
花が綻ぶ様に、ふわりと、美しい笑みを浮かべて、両手一杯の紙袋を差し出しながら雲雀は言った。
「…なんで、僕の誕生日が分かったのですか?」
「だって今日は、むくろの日だろう?別に、調べたりしたんじゃ無いよ」
応接室の扉を開いた態勢のままで固まっていた骸は、取り敢えず部屋へ足を踏み入れた。
「何というか…すごく嬉しいです、恭弥くん」
そう言って無邪気に微笑う骸に、雲雀は紙袋を押し付けた。
「チョコレートって、歯が溶けそう」
「ちゃんと歯を磨けば大丈夫ですよ」
「胸焼けしそう。健康に悪そう」
「知ってますか恭弥くん、チョコレートは癌予防になるんですよ」
「迷信だろう。それに君、病気じゃ死にそうに無いし」
「それもそうですね」
早速袋を開けてチョコレートを口に含むと、骸はクフフと笑った。
「本当に、これでは太りそうですね」
「君が太ったら僕は付き合ってあげないからね。そうなる前に咬み殺してあげるよ」
「太ってしまっては、僕は犬と千種に合わせる顔がありません」
雲雀の口にチョコレートを近付けると、雲雀は大人しくそれを口に含んだ。
「高カロリーなもの程美味しいというけど、本当だね」
「君、カロリーとか気にする人でしたっけ」
「僕はいつでも好きな時に好きなものを食べるよ」
「恭弥くんらしいですね」
2人同時に顔を近付け軽く口付けると、甘い味が行き交った。
「…ねえ、その“恭弥くん”っていうの、やめてくれないかな?」
「良いじゃないですか、“ヒバリくん”は“ヒ”が言い辛いんですよ」
「…そう」
(まあ、良いや、どうでも)

今日は 今日だけは、
君が(僕が) ここに産まれた事に、感謝。




end
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