感情の裏側

□山崎さん
1ページ/1ページ




『いだだだだだだだ!!!痛い痛い痛い!!!
もっと優しく!!もっとソフトに!!』

「大人しくしてください。」

『いーたーいー!!!!!』


逃げよう、そうしよう。

スパァァァン!!!

障子を思いっきり開けて全速力で走る。
傷口が開いた気がするけどそんなの気にしない。

「あ!!!逃げないでください!!」

『やだやだやだ痛い!!傷口に石田散薬塗るなんて信じられない!!』


塗るって言うより擦り込んでた!!!



廊下を曲がったところで誰かとぶつかった。

『ぶふぅ!!!』

「おっと、悪いななまえちゃん!!って…どうしたんだよその腕!!」

「どうした新八…ってなまえ。腕どうした!?」

ぶつかったのは新八さん。
その後から来た左之さん。相変わらず雰囲気が大人だ。

「そのままなまえさんを捕まえてください!!」


「「は?」」

『誰が捕まるかー!!低身長ナメんな!!!』




左之さんと新八さんの間を通り抜けて逃げる。

「あぁぁ!!待ってください!!」

「何かしらねぇけど俺も手伝うぜ!」

「なまえを捕まえりゃいいんだな?」

「はい!!」





こうして鬼ごっこが始まった。


___
_______
___________________













ドンッ


「あれ?なまえちゃん」

「走るな。怪我をするぞ」

『総司君!!斎藤さん!!』




「見つけた!!」

「もう逃げらんねーぜなまえちゃん!!」

『た、助けて斎藤さん!!新八さんに襲われる!!』

「なっ…!!!新八!!!」

「俺は何もしねぇよ!!!!」



斉藤さんの背に隠れる。
浅葱色の羽織を着てるって事は巡察帰りだろうか。

新八さんが斎藤さんの後ろにいた私に向かって走ってくる。


『総司君!!!』

斎藤さんの隣にいた総司君の羽織の中に隠れる。
総司君の着物と新選組の羽織に挟まれた状態だ。

簡単に言うと総司君の羽織の中に潜り込んだだけだ。

「あ!!!」

「なまえさん!いい加減にしてください!」

「諦めろってなまえ」



「何したの?なまえちゃん。」

「ちゃんと言え」








『だって山崎さんが石田散薬塗るんだもん』







「「は?」」

「仕方ないでしょう。命令なんですから」

『だからってあんなに…!擦り込むように塗らなくても!!』

「子供じゃないんですから我儘を言わないでください!」

『まだ子供ですぅ!!』


だってピッチピチの女子高生ですもの!!


「なまえさんをこっちに渡してください」

「えーやだなぁ」

「やだじゃねーよ総司!」

「なまえは怪我してんだ。早く手当てしてやらねーと」

「総司、なまえ。言う事を聞け」


『斎藤さんまで!!』

「僕が手当てするから君達は部屋に戻りなよ」

『山崎さーん。優しくお願いします』




「なまえちゃん?(黒笑)」


黒い!黒いよ総司君!

『だって総司君絶対余計なことするもん!!』

「しないよ…絶対とは言い切れないけど」

『オイ』



「とにかく!なまえさん、説教も兼ねて手当てしますよ」

『え、』








後ろから影が伸びてきた。

「俺はお前に安静に、大人しく!って言ったんだがな…?」




………今日は厄日だ。

『だって痛いんだもん!特に石田散薬とか石田散薬とか石田散薬とか!!!』

「石田散薬ばっかりじゃねぇか!!!」

「石田散薬は万能薬だ。痛みぐらい我慢しろ」

『斎藤さんは石田散薬でも飲んで寝ててください!』


「な…!!!」


ちょっと嬉しそうな顔の斎藤さん。
今晩そうしようとか呟いてたのは聞こえなかった事にした。

「チッ…。俺が手当てしてやる。来い」

『えぇぇー!!!』



___
_______
________________________


















『いったい!!!』

「我慢しろ!!」

『痛い無理!!』

「もう少しだ」



優しい手つきになった土方さん。

『………土方さん』

「なんだ?」

『私、こっちに来て長いですよね』

「…………帰りてぇのか?」



え、なんでそうなった?
でも…正直ずっとここに居たいっす!

『いや…うーん。ここに居たいですけど…やっぱ帰らなきゃダメかなぁ』

「ここに居たきゃずっと居ればいいだろ。」


…意外だ。こんな事言うなんてこの人本当に土方さんなのだろうか。

ビシッ

強烈なデコピンを喰らった。

『ふぐっ!!!』

「失礼な事考えてんじゃねーよ」

『こ、効果絶大…!』


腕に引き続き額までも怪我するなんて!!

「悪かった…怪我させちまって」

『…気にしてたんですか?だから土方さんが手当てしてくれたんですか?』

「うるせぇよ。」


ちょっと遊んでみようの会←

『痛かったなー…』

「な、なんだよ…」


『土方さんが接吻してくれれば治ります』


とか調子のって言ってみた。




「…わかった」

『へ?』

「すればいいんだな?」

『じょじょじょ、冗談です!!』

「今更遅ぇよ。」




ドサッ…



『何だこれ!!イベント発生ですか!!』

「目閉じろ」

『だぁぁぁぁ!!ちょっ、落ち着いてください土方さん!!』

「俺は落ち着いてる。お前が落ち着いたらどうだ?」

『あ、そうですよね…いやそうじゃなくて!!
あんた正気ですか!!』


「あ?お前が言ったんだろ」






鬼畜!!!


(おち、おちつ…落ち着いて!!)
(お前がな)
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ