感情の裏側
□あの手この手で。
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『土方副長ー!!!』
「何だ気持ち悪ぃ。副長って呼ぶな」
『酷いですね。この間はデレてくれたのに…。』
風邪ひいたときの土方さんが忘れられない。
またツンかぁ…。
道のりは長いな。うん。
『左之さん何処にいるか知ってますか？』
「あぁ…稽古に行ったんじゃねえか？」
『ありがとうございます!
そんな土方さんにいい情報を教えて差し上げましょう!
土方さんの恥ずかしい発句集を総司君が子供達に読み聞かせてますよ』
「総司ぃぃい!!!!」
「梅のはなー!!一輪咲いてもうめはうめー!!!!」
って叫んでる総司君の声がやけに遠くから聞こえた気がした。
『うわー…総司君えげつねぇ…』
「総司がどうかしたのか？」
『うわっ…斎藤さんか!!』
「失礼だな。」
『だったら急に現れないでくださいよ…。』
「…。」
無言かよ。
怖いんだよ!
斎藤さん何考えてるかわからないから怖いんだよ!
『そ、それより斎藤さんはどちらへ？』
「総司に副長の…、」
『もしかして発句集とられたとか？』
「知っていたのか？」
『はい、今土方さんが取り返しに行ってますよ』
「そうか。」
『それじゃあ私行きますね』
とてとて。
『…。』
とてとてとて。
『あの…斎藤さん？』
「なんだ？」
『……どうしてついてくるんですか？』
「迷子になられたら困る。」
『…大丈夫ですよ』
さすがに屯所内で迷子はないよ…。
「わからぬだろう。」
『もー…』
ギュッ。
『…！？』
「これなら心配いらない」
『……天然ですか』
「なんだ？」
『なんでもないです…』
手を繋いでくれた事と
歩幅をあわせてくれた事にキュンとした。