あの子のリボンは僕のもの
□先生
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「剣道部のマネージャーやれるなんていいなぁ!羨ましい!」というミーハーなクラスメイトのセリフが脳内をグルグルとまわる。
『………良いもんか、地獄だチクショー』
自販機にお金を投入して、ボタンを押す。
ガコン!という音と共に落ちてきたのはお茶。
今は部活の休憩中。
もう一つ、千鶴の分のお茶を買って道場へと戻ろうとしたそのとき。
「見つけたぞ、我が嫁候補よ」
『え…?』
思わず叫びそうになる。
振り向けばそこには偉そうに立つ生徒会長様がいた。
生徒会長の傍らには高校生らしくない雰囲気をただよわせた天霧先輩が佇んでいる。
つーか嫁候補ってなんだ。
嫁になるつもりも候補になったつもりもない。
「噂で聞いていたが、まさか本当に剣道部のマネージャーをしているとはな」
昨日剣道部に入ったばかりなのに噂広がるの早いな。
「剣道部などやめて生徒会に入れ」
『すいません私急いでるので!!』
本当に生徒会に入れられては困るので、私は生徒会長から逃げるように道場へと走った。
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「フン、なまえはもらっていく」
「ふざけるな、誰が渡すかよ。」
何故こうなった。
「なまえちゃん、あの人に何言ったの…?」
『何も言ってない…生徒会長が勝手に…。』
「そっか、気の毒だね…」
嫁候補の一人でもある千鶴は、私の気持ちを理解してくれた。
向こうの方では生徒会長と先生が喧嘩している。
こんなんじゃ部活にならないよ…。
『私帰りたい…』
「なまえちゃん、私も帰りたいよ…」
あはは、と乾いた笑いをこぼす私達を斎藤先輩が心配そうに見ていた。