とあるアイドルメンバーの日常。
□好きなんです。。。
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Oさん目線。
ふぅ……。
結局、今日も何にも言えないまま収録が終わっちゃったなぁ。
ほんとは、もっといっぱい喋らなきゃ!て思うんだけど、オイラの話はつまんないから、どうしても何も言えなくなる……。
テレビに出てる以上、何か喋んなきゃ、マズイよね。
「大野さん?…どうかしたんですか」
「……え?あ、ニノ」
「眉間に皺寄せて考えこんじゃって。私でよければ、相談乗りますよ?」
「ニノみたいに何でも出来る人に、オイラの気持ちなんか分かんないよ」
「何言ってんですか。大野さんには敵いませんよ」
そう言って、ふふふと笑うニノ。
そんな事ない。
ニノが出たドラマや映画は、どれも好評価。
それに比べてオイラは。。。
ドラマ中に、釣り行って怒られるし、ニノみたいに器用でもない。
ニノみたいに、話するのも上手くないし、ツッコミだって出来ない。
オイラに、何か人には負けないモノなんてあるのかな……?
「……野さん。大野さん!」
「…っうわ!な、何?」
「何?ぢゃないでしょ。一体、いつまで楽屋残るつもりですか?」
「え?あれ、皆は?」
「もうとっくに帰りましたよ」
「え!?あ、ゴメン。ニノ」
「別にいいですよ。どうせ、この後何もないですし」
「……うん。ゴメン」
「そんなに悪いって思うなら、俺と飯行って下さいよ」
「……それは、無理」
「…まぁ、断られると思ってましたけどね」
「うん、ゴメン」
「そんな謝んないで下さいよ。別に何とも思ってないですから」
「うん…」
ほら、行きますよ。なんて言いながら、ニノがオイラの手を引いて楽屋を出る。
んふふ。
ニノは、こういうトコが優しいんだよね。
本人に言っても、絶対照れて否定されちゃうから、言わないけど。
……いつからかな。
ニノを、他のメンバーとは違う目線で見るようになったのは。
いつからだったかな。
ニノを“好きだ”と思うようになったのは。
ニノ、オイラね、ニノが好きだよ。
大好きだよ。
メンバーとしてじゃなくて、1人の男の人として。
いつも手を握ってくれたり、オイラのお尻触ってきたり……。
それだけで、オイラがどれだけ嬉しかったか、気付いてる?
ニノに何にもされない日が、どれだけ辛いか、知ってる?
ニノ、ニノ、ニノ。
オイラの頭の中は、ニノでいっぱいだよ。
でも、男のオイラから好かれたって、ニノは困るだけだよね。
……ホントは、こんな気持ちになっちゃいけないんだ。
ニノを困らせるだけだから。
でも、オイラじゃ止められないんだよ。
ニノが好き過ぎて。
だから、ニノお願い。
オイラの事、嫌いになって。
そしたら、きっとニノの事諦められると思うから。
好きになってゴメンね。
こんな気持ち悪い感情、どっかに捨てちゃいたい。
嘘。
ホントは、嫌いにならないでほしい。
オイラだけのニノになってほしい。
オイラに「好きだよ」て言ってほしい。
ニノに、たくさんギューっとされたい。
ニノといっぱい、キスしたい。
ねぇ。こんな気持ち、ニノが知ったら引いちゃうかな?