お題

□英単語で10のお題
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『ただいま…っと』



時刻は深夜すぎ。

物音ひとつしない部屋になまえはいつもの癖で言った。

美容にうるさい彼はもうとっくに寝てしまっているだろう。

すっかりそのつもりで荷物をテーブルに置いたとき、唐突に返事が返ってきてなまえは可愛げのかけらもない声を上げてしまった。



『さ、サニー!…まだ起きてたんだ』

「んだよその顔」



ずいぶんとご機嫌ななめななまえの彼がソファに座っていた。

この様子ではいつも乗るはずだった電車に乗り遅れた、なんて言えそうにもない。

代わりにサニーが眉間にしわを寄せたまま口を開いた。



「てかお前、いっつもこんなにおせーの?」

『今日は特別遅いけど、うん、大体こんな感じ』



サニーはいつも先に寝てるから知らないよね。

そう言いかけたが、なまえはすんでのところでその言葉をのみ込んだ。

今何か言っては火に油をそそぐだけだ。



『珍しいね、起きてるなんて』

「……るせーし」



ふくれっ面をしたままぼそっとサニーは言い、なまえについてキッチンへ入ってきた。

なまえは少し前にハーブティーを飲み始めた。

それが今では習慣になってしまって、飲まないとよく眠れない気さえする。

ポットとマグカップを用意して、お湯が沸くのを待っている間、なまえは隣に立ったサニーにそっと体を寄せた。

すると優しく腕が回されて、どこか押し殺したような声でサニーがつぶやいた。



「お前見てっと不安になんだよ」

『大丈夫だよ。慣れてるもん』

「あんま心配させんな」

『…うん。ごめんね』



さっきとは打って変わって、あまりにも悲しそうな声でサニーが言うので、なまえは思わす謝罪を口にした。

案の定、「そういうんじゃねーし」と返事が返ってくる。

だがその声からは不機嫌さがいくらか消えていた。

なまえは顔を上げて目を合わせた。

ちょうどお湯も沸いたところだ。



『サニーもハーブティー、飲む?』

「ま、付き合ってやるよ」

『それともうひとつ』

「んだよ」

『ありがとう、待っててくれて』

「先に寝るとお前に髪踏まれんのがヤなだけだし」



サニーはぷい、とそっぽを向いてしまった。

ほんのり頬を赤らめているあたり、どうやらいつもの調子に戻ったらしい。

なまえははいはいと相づちを打ちながら、ティーバッグをもう一つポットに放り込んだ。





6. Nightowl





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