森羅万象の理

□第六幕 硯に棲む白
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人には見えずとも蟲は数多く存在している。


むしろ万人の目に見える蟲のほうが極一握りというもの。




その蟲は空気中の水や氷を喰らい、雪や霰にして地へ降らす。


自らは動けぬ風任せの存在ゆえに雲がなければ地上へ降り、自身を凍らせて仮死とする。




だが余りにも長く地に留まり過ぎたものは石と化す。


いつしか再び日の目を見ることを願いながら。





第六幕 硯に棲む白
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