《あの男…》

□あの男…8
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朝、学校に行く事が、憂鬱でたまらなかった。


かつて、これほどまでに嫌だった事は無かったように思える。



そして、校門を過ぎ、下駄箱で花子は歩みを止めた。



「…………邪魔なんだけど」



花子の下駄箱に背を預け、腕を組んでいる長身がそこにはいた。



「話があるんじゃ」



「……………」



何を、話すと言うのか。


「放課後、教室まで行くき。逃げるんじゃなか」



仁王は花子の返事も待たずに、スタスタと去って行ってしまった。



全く、何であの男が出てくるのか。



花子は、ため息を漏らさずにはいられなかった。







教室に入るや否や。



「山田さん!」



と、隣りの席の彼女から、昨日の話を持ち出された。


彼女には悪い事をしてしまった。



一緒にテニスコートに行ったのに、試合が始まる前に、花子は一人で帰ってきてしまったのだ。



「昨日はごめんね」


「ううん、大丈夫だよ。それより…山田さんは大丈夫?」



そう言ってくれる友人が出来て、本当に良かった。
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