POKEBASA本編

□07 雪景色の激戦
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POKEBASA〜雪景色の激戦



奥州の地で猛威を奮っていた吹雪が少し治まったと同時に、ある小さな雪の中の村は落ち武者たちに襲われていた。
白い景色が赤く染まる勢いの怒声、悲鳴、恐怖、それが村を侵略しかけた時に現れたのは2人の救世主であった。
1人は村人がよく知る幼いながらにして婆娑羅者の能力と大槌を持つ少女、もう1人はこの奥州の地を治める者を探し悲鳴を聞きつけてこの村に来た竜の右目であった。
2人の婆娑羅者と所詮落ち武者という無法者たちの戦いは早々に決着が付くかに思われていた、が、戦局の歯車は徐々に狂い始めていたのだ。
何故かこの2人を狙って降ってくるあられや風に乗って来た氷柱、氷のつぶてがこの戦いに影響を与えていたのだ。
まるで意思を持っているかのような氷は、村を守ろうとする2人だけを狙ってその硬く鋭い武器を向けてきていた。

『何なんだ、この氷は?何故俺たちを狙ってくる?!』
「さっさと村から出て行くだ!!なんでこの村を襲ったんだべ!?」
「この村を襲えば綺麗な姉さんが他にも金をくれるって言っててな」
「略奪も出来て金も貰える、良い仕事だよこれは!!」
「……!てめえら、この奥州の地を荒らして生きて帰れると思うな!その女のことも洗いざらい吐いてもらうぜ」

竜の右目の刀に雷が宿り、鼠色の雪雲を貫いた。







***







「前が見えねえ…よくこのBrizzardで空を飛べるな…」
「クロバットが出す超音波のお陰ですよ、元々暗い洞窟にいる種族ですから、彼らにとって視覚はあまり関係ないんです」
「クロバット!」

少し威力が治まったとはいえ吹雪は吹雪、真っ白なカーテンに遮られ当に一寸先も闇な状態で2人の人間が捕まっているクロバットは障害物にぶつかることなく空を飛んでいた。
辺り一面畑も田んぼも雪によって埋もれてしまったその風景は、奥州の地の自然の厳しさを物語っていた。

「クロバット!クロバット!!」
「どうした?……ん、雷?」
「…!あれは小十郎の雷!すまねえ、あそこに行ってくれないか?!」
「良いですよ、どうやらこいつもあっちに妖しい気配を感じたようですし」
「クロバット!」

ヨメナのクロバットの超音波は普通のコウモリポケモンたち以上の性能を持っている、その超音波が感じたのはポケモンとそのトレーナーであろう気配であった。
もし自分以外のトレーナー――魔獣使いがいるならば、ポケモンに指示を出して『ふぶき』を起こし、藤次郎に『つららばり』を放った人物であろう。
本来ポケモンの技を人間が受けると下手をすれば大きな後遺症をも残すことがある、それを躊躇いもなく人間に向けて撃った人間、ヨメナにはそれが許せなかった。
しかも鼠色の雪雲を貫いたあの雷が藤次郎の言った小十郎という人物が放ったものなら、雷を使わざる追えない状況になっていると言う事だ。
自分たちの世界ではないこの地で好き勝手している魔獣使い、その人物に対する怒りが無表情に近いヨメナの内部に青い炎のように燃えたぎっていた。

「いくぞ、クロバット!」





「竜の右目、片倉小十郎……良い男だけど、此処で始末しなきゃいけないなんて勿体ない…でもしょうがないか。『つららばり』!」

撃ち出された氷柱が吹雪に乗って2人に攻撃を続けていた。







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