POKEBASA本編

□04 新生ギンガ団
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『まさか、ロケット団の遺産……?』
「春町『はなびらのまい』だ!!」

慶次が指示した春町の攻撃でハガネールは桜吹雪に閉じ込められたが、身体のパーツを回転させ砂嵐を起こし、花弁を全て吹き飛ばした。

「『すなあらし』…進化しただけじゃなく、レベルも上がってる!リーフィア『リーフブレード』!シャワーズ『なみのり』!」

2匹の攻撃は地面タイプを持っているハガネールに少しずつ効いていた、しかしその攻撃にイライラし始めたハガネールは尻尾を光らせ、2匹を攻撃し、さっき起こした砂嵐に2匹を叩きつけた。

「リーフィア!シャワーズ!戻って。『アイアンテール』なんて威力だ」
「ブイー!」

ヒナギクは2匹をボールに戻し、別のポケモンを出そうとしたが、その前に月華が『シャドーボール』をハガネールにぶつけ、それに起こったハガネールは『アイアンテール』を月華にぶつけようとした。

「月華!!」

半兵衛は手にしていた関節剣で『アイアンテール』を弾いたが、所詮は人間と魔獣、パワーが違いすぎたのか、弾かれ半兵衛をも巻き込もうとした。

「半兵衛!!」
「バシャーモ!!」

『アイアンテール』がぶつかるよりも秀吉が駆けよるより早く、ヒナギクが投げたボールから出てきたポケモンは半兵衛と月華を回収し、その素晴らしい脚力でその場を脱出した。
赤い体毛に覆われ人間のようなフォルムを持ったそのポケモンは、1人と1匹を安全な場所まで避難させるとハガネールへその鋭い眼光を向けた。

「月華、大丈夫かい?!」
「ブイ」

『知らぬ顔』とも呼ばれ、冷酷非道な軍師としても知られている半兵衛が月華に向けたのはまるで自分の娘に向けるような慈しみの表情であった。
秀吉が自分のために持って来たタマゴから生まれた小さな魔獣は、この1カ月の間で病気と焦りによって蝕まれていく自分を癒してくれる掛け替えのない存在になっていたのだ。

「良かった…」
「ブイー」

その時、『にほんばれ』の効果が消え空は闇に染められ、見事な満月が出てきた。
その月の光を浴びた月華の身体は光り輝き、光が消えると額に三日月模様を持ち、赤い瞳と黒い毛並みを持った魔獣になっていた。
そう、トレーナーとの絆を深め己自身を鍛え抜いた殆どのポケモンが辿る道、“進化”が始まり、月華はその姿を変えたのだった。

「ブラッキーに進化した?!」
「ヒナギ、あれが進化か?」

慶次はヒナギクから魔獣の話の中に、進化の話を聞いていた。
魔獣は強くなると姿形が変わり、更に強くなるものがいると。
元々しんかポケモンと呼ばれるほど多くの進化の過程があるイーブイだが、ブラッキーはトレーナーに十分に懐いていないと進化しない、今回月華が進化したのは月華が半兵衛に十二分に懐いているからだ。
しかし今はその神秘的な光景に感動している場合ではない、此処は戦場のど真ん中なのだから。

「いくぞバシャーモ『ブレイズキック』!!」

バシャーモはその場から飛び上がり、右脚に炎を纏わせるとハガネールの脳天にその一撃を喰らわせた。
鋼タイプであるハガネールには炎タイプであるその攻撃は効果抜群であったが、元々頑丈なハガネールはその攻撃に耐えきりバシャーモに『アイアンテール』をぶつけようとしたが、バシャーモはそれをかわした。
それからもバシャーモは軽いフットワークでハガネールの攻撃を避け続けた。
トレーナーであるヒナギクから次の指示が出ないのは、彼女に何か考えがあるからだと長い付き合いである彼は感じ取っていたのだ。
避け続けるバシャーモに嫌気がさしたか、ハガネールは標的をバシャーモにではなく人間に向けその強固な尾で再び『アイアンテール』を放った……が。

「我が手に掴めぬものは無し!!」

まさかのまさか、秀吉はその手で『アイアンテール』を掴んだのだ!
ハガネールはまさか人間に自慢の鋼の尾を掴まれるとは思わず、驚きを隠せなかったようだ。
そして驚いたのはヒナギクもだった。

『手で『アイアンテール』を掴んだ?!何で?!』

ポケモンの攻撃を人間が受け止めるなんて信じられない、が、これでハガネールに隙が出来たのは間違いなかった。

「今だバシャーモ!『フレアドライブ』!!」

秀吉に動きを止められたハガネールに炎を纏ったバシャーモが直撃し、瀕死の直前まで追いつめられたがまだ捕獲に抵抗するだけの体力は残っていた。
そして最後の足掻きとして進化したばかりの月華に向けて攻撃した。
しかし月華はその攻撃に当たったかと思いきや、月華の姿は消えハガネールの頭に一撃を喰らわせる。
月華は華麗に地面に着地し、ハガネールは地面に伏せた。

「成程…『だましうち』か。使える技だね」

バシャーモが時間を稼いでいる間にヒナギクは半兵衛に月華の技を教えていた。
悪タイプの技は相手の裏を突く戦略的な物が多い、慶次に聞いていた竹中半兵衛の噂…天才軍師と呼ばれる彼ならトレーナーで無くても使いこなせると思ったからだ。
思った通り、半兵衛は1度技の説明をしただけでそれを上手く使いこなしたのだ。

その後ハガネールはヒナギクに捕獲された。
満月に照らされながら漆黒の闇の中に大坂城は沈んで行った………。




→あとがき
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