短編

□王子革命
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特に気にする存在でもなかった。ただの先輩後輩。ただそれだけ。
そう思っていた。

楽しそうに敵を殺していくベルセンパイの後ろ姿をぼーっと見ていた。
ほんと無邪気というか子供っぽいといいますかー。

「つーか、お前も戦えよ」

片付け終えたのかベルセンパイが振り返り、笑いながら言った。

「だってー、ミーは幻術専門ですもーん。それすらこのカエルでできないんですよー」

というわけでやっぱり脱いでもいいですかー、とカエルを脱ごうと頭のそれに手をかけた。

「しししっ、だめに決まってんだろ」

満面の笑顔で、ベルセンパイがナイフを投げてくる。恐ろしい。

ザクザクと音をたててナイフが刺さる。
こんな荒い扱いをしてカエルは大丈夫なのでしょうかね。

「じゃあ文句言わないで、ミーを守ってくださーい。王子さま」

こてんと可愛らしく首を傾けてみたらセンパイは眉を顰めた。

「そんなことしても可愛くねーよ、チビ」

そう言って背を向けるベルセンパイに物足りなさを感じる。
ミーが望んでるのはこういうのじゃなくて


「…ベルセンパーイ」

「なんだよ、」顔をこちらに向けた瞬間、腕を引きぶちゅーっと口付けをした。
前髪の間から
覗く瞳はまんまるだ。動揺のせいか少し揺れていて、ミーは満足感に満たされた。
一旦唇を離し、角度を変え再び重ねる。舌で無理矢理唇をこじ開け、侵入させる。
逃げようとする舌を絡める。吸う。センパイの舌は熱くてとろけてしまいそうだ。
そろそろベルセンパイが苦しそうに顔を歪め始めたので、透明の糸を引きながら唇を離した。

「な、なななな、なななにすんだよ!」

「頭可笑しいんじゃねーの!男になにやってんだよ!」

口を片手で覆ったままベルセンパイは叫んだ。覆っててもわかるほどベルセンパイの顔は真っ赤だ。

「ミー、ベルセンパイのことが好きみたいですー」

警戒心が丸出しのベルセンパイの前に跪き、手を取る。

「これからは遠慮なんかしないで攻めていくんでよろしくお願いしますねー」

愛しいセンパイの白い手の甲にミーの気持ちが伝わるよう祈りながら唇を落とした。



(はやくミーに堕ちてしまえばいいのに)

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