短編
□アンチテーゼ
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ノックも挨拶も無しに部屋に入ると、丁度シャワーから上がったようだった。
深緑の髪からぽたぽたと水滴が落ち、絨毯に染み込む。
華奢な腕は寒いのか、鳥肌が立っていた。
「鳥肌立ってるぜ」
「あー、つい生理的拒否反応で」
「カッチーン」
まじ、むかつく。
「だから、それ流行りませんってー」
フランが呆れたように肩を上げる。
とりあえず、だまらっしゃいってやつ。
「で、用件はなんでしょうかー?」
フランが床に座ったので俺も隣に座ってみる。
図々しくねぇよ?
俺王子だしさー。
てか、拒否られてねーし問題ナッシングだろ。
「いえ、ばりばり問題あっりんぐですー」
フランの方へと顔を向けると、…思ったより近かった。
さりげなく横に移動する。
「心の声は心の中で言ってくださーい。
独り言としちゃ駄目ですよー」
めっと蛙が言い、クローゼットから服を出していく。めっとか可愛くねぇし。
「で、用件はー?」
「……プレゼント」