花炎異聞録

□第二録 現状確認
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 すでに七花が来てから三時間が経過している。
 七花の説明が長かったのもあるが、過去の人間である七花にマフィアやボンゴレのことを理解させるのに時間がかかったのも原因だった。
 考えるのが苦手な七花にとって、この時間で理解できたのは素晴らしいことなのだが。少なくとも、二転三転する話は二転までが限界という晴れの守護者よりずっとましだった。
「ふうん……つまりそいつ――綱吉は、そのぼんごれの次期当主ってわけか」
 七花はふむふむと頷いた。まだあいまいにしか理解できてないところもあるが、まあ問題無いだろう。
「でもよ……聞けば聞くほど解らねぇ。得体の知れない俺を、どうしてそんな重要な奴の傘下に付けたいんだ?」
「さっきの戦いで、おめぇの実力が解った。それに真庭って連中のことを知ってるのも、気になるしな。理由はそれだけで充分だ」
「ふぅん」
 つまり自分の持つ武力と情報が欲しいのだろう。
 なら自分を仲間にしたいという、この赤ん坊の言い分はよく解る。
 ……どちらにせよ、帰るあてもないのだ。知らない世界を放浪するより、こいつらと一緒にいた方がいいかもしれない。
 それに、こいつらに興味が無いでもないし……
 そこでふと、七花は苦笑した。
 二重否定を使った、ある意味ひねくれた考え方に、旅の同行者を思い出したのである。
 影響されてるな、などと思いつつ、七花は頷こうとした。
 入る、と言おうとしたのである。
 しかし空気を読んでいなかったのか、はたまた話を聞いていなかったのか、向かい側から阻む声が上がった。

「俺は反対ッスよ、リボーンさん!」

 なぜ今更、と言いたくなった。
 何で今頃、とも言いたくなった。
 嵐の守護者、獄寺隼人に対し、とりあえず七花は一言。
「遅くねぇか?」




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