書庫V
□守護者の匣談義
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全ては小さな家庭教師の一言で始まった。
「守護者の匣の名前について語り合うぞ」
『……はぁ!?』
ツナ以下守護者全員(雲雀とクローム除く)はぽかぁん、とリボーンを凝視した。
白蘭とのチョイスが近いため、修行にいそしんできた七人は、急にボンゴレアジトの会議室に呼び出されたのだ。
どんな重要な話かと思えば、めちゃくちゃくだらないことだった。
「なぁリボーン……修行中なのにこんなことやってていいのか?」
「う゛お゛お゛ぉい、何でこんなことに時間割かなきゃなんねぇんだぁ……」
修行中の家庭教師として日本にいるディーノとスクアーロはげんなりとした顔になった。
「修行の息抜きだ」
ならばなぜ、銃をこちらに向けるのか。二人は顔をひきつらせる。
「僕も跳ね馬の意見に賛成だよ、赤ん坊。群れるのは嫌いだ」
「俺も剣の修行したいしな〜」
雲雀と山本が抗議の声を上げた。
雲雀はともかく、山本が抗議したのは意外だ。
ツナは山本をちろりと視線をやった。山本の顔には、スクアーロにやられた傷がまだ残ってる。
「あとちょっとで何か掴めそうなんだよな〜」
視線に気付いた山本は苦笑した。
「だが切り詰めるのはよくねーぞ。たまには休むのも必要だ」
リボーンの言葉に、山本とスクアーロ、雲雀とディーノのW師弟コンビは顔を見合わせた。明らかに、納得してない顔だ。
そんな彼らを無視し、リボーンは続ける。
「いつも思うんだが、みんな匣アニマルに独特の名前を付けてるみてぇだからな、それについて語り合いたかったんだ」
「て、結局おまえがしたいことかよ」
ツナは思わずツッコんだ。そんなツナに、リボーンは銃口を向ける。
「ひぃ! 何でもありません!!」
ツナは向けられた銃口を見て両手を上げた。
「よし。まず、ディーノにスクアーロ、おまえ達の匣アニマルの名前は何だ?」
「え……」
まさか自分達までとは思わなかった家庭教師二人は目を丸くした。
「え〜と、俺のはスクーデリアだぜ」
「俺のはアーロだぁ」
意外に素直に言った。
「由来とかあるか?」
「俺のは別に……」
「俺は同じ名前だからだ。コイツの名前、暴雨鮫(スクアーロ・グランデ・ピオッジャ)だから」
「あ、そっか。アーロはスクアーロのスクを取ってるのな」
山本が納得したように笑った。
「なるほど。じゃ、次はツナだぞ」
「えぇ!? お、俺ぇっ」
「当たり前だろ」
リボーンは当然だ、と言うように唇の端を持ち上げた。
「ボスがまず見本を見せるのがマフィアの掟だ」
また適当なこと言って!!
ツナはそう思ったがぐっと我慢した。
言ったって、ろくなことが無い。
「お、俺のはナッツだよ」
「十代目、あの匣は大丈夫なんスか?」
獄寺が心配そうに尋ねてきた。
「うん。京子ちゃんのおかげで」
ツナは自分のボンゴレ匣を見つめた。匣が応えるようにうごめく。他の匣には無い反応だ。
「ナッツって『ツナ』を逆にしたのか?」
「え? うん」
リボーンの問いにツナが素直に頷くと、
「単純だな」
「ほっといてよ!」
ツナは怒鳴った。
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