書庫V

□見抜くその瞳は
1ページ/4ページ




 自分から見た世界は、醜い黒だった。
 様々な色が混ざりあって生まれた黒。赤だったり青だったり緑だったり――それら一つ一つなら美しいけれど、混ざってしまえば皆等しくその美を失った。
 自分自身もそうだ。全身を包む黒い服は職業を表しているだけでなく、己自身を皮肉ってもいた。
 きっとあいつもその黒の中に埋もれてしまうんだと、そう思っていた。




次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ