異世界の守り人
□リーザス
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素朴な村。自然に囲まれ、住民が穏やかに暮らしている。まさにそんな村でエイト達は。
「盗賊め、現れたな!」
「いざ尋常に勝負!」
武装した子供に相対していた。
どうしてそんなことになったかと言うと、エイト自身解らなかった。
なぜか村に入るなり、この子供二人が銅の剣とひのき棒を向けてきたのである。
片方はちゃんとした、角の付いた兜をかぶっているが、もう片方はなぜか鍋をかぶっている。武装と言うには少し中途半端だった。
確かにこちらには元山賊もいるし詳細不明の謎の美女もいるし外には見た目魔物な陛下もいるが、盗賊は無いだろう。
というか、そもそも何で盗賊と判断されるんだ。
「よそ者を歓迎しない村ね……。何ていうか、あー……最悪だな」
アリィシアは顔をしかめていた。
「どうしようか、これ。まさか剣を抜くわけにもいかないだろ」
「だよね……素手でいくしかないよ。でもひのき棒はともかく銅の剣はなぁ。実は結構切れ味あるんだよね」
「問題無い。へし折る」
「いや無理でしょ!?」
「大丈夫。こう見えて素手スキルマックスだから」
「あれ? アリィシア剣士じゃ……」
「拳士でもある」
「文字が……」
「ちなみに弓使いでもあり槍使いでもありハンマー使いでもあり斧使いでもありブーメラン使いでもあり鞭使いでもある。あぁそれと杖に……」
「いやもういい。ていうか万能過ぎでしょ君」
「そうか。しかし万能と呼ばれるのはいささか不本意だ。万能と言うべき存在は神だけだよ」
「君は神職者なの?」
「いや、ただそこにいるだけの万能だ」
「万能認めてんじゃん!」
「いい加減やめろおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
少年の絶叫が響き渡った。
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