異世界の守り人

□いばらの城
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「ここは……」
 アリィシアは絶句した。
 背後にあった旅の扉はすでに消えており、後戻りはできない状態にある。
 別に後悔しているわけではないが――急に後戻りしたくなった。
 誰だってそう思うだろう。

 目の前に、いばらに覆われた城があったら。

 世界中を旅したアリィシアでも目を見張るほど大きな城。これほど大きな城はあちらでも類を見ない。
 けれどそれは、その城がまともな形をしている場合だ。
 その城は、いばらに覆われ、完全に崩れていた。
 城壁からいばらが突き出し、壁はほとんどが崩れている。近くの木々や草は枯れ果て、外から見える塔は上の方が無くなっていた。
 外から見てこれなのだから、中は……
「荒廃……? いや、この荒れ方と魔力は、まさか……」
 アリィシアはつばを飲み込む。
 これはまさか、呪い?
「……ルディアノ城を思い出すな」
 アリィシアは呟き、城門に近付いた。
 固く閉ざされているが、運よくいばらに囲まれていないおかげで開けられそうだ。
 と――アリィシアはふと顔を上げる。
「これは……戦闘音?」



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