異世界の守り人
□いばらの城
1ページ/4ページ
「ここは……」
アリィシアは絶句した。
背後にあった旅の扉はすでに消えており、後戻りはできない状態にある。
別に後悔しているわけではないが――急に後戻りしたくなった。
誰だってそう思うだろう。
目の前に、いばらに覆われた城があったら。
世界中を旅したアリィシアでも目を見張るほど大きな城。これほど大きな城はあちらでも類を見ない。
けれどそれは、その城がまともな形をしている場合だ。
その城は、いばらに覆われ、完全に崩れていた。
城壁からいばらが突き出し、壁はほとんどが崩れている。近くの木々や草は枯れ果て、外から見える塔は上の方が無くなっていた。
外から見てこれなのだから、中は……
「荒廃……? いや、この荒れ方と魔力は、まさか……」
アリィシアはつばを飲み込む。
これはまさか、呪い?
「……ルディアノ城を思い出すな」
アリィシアは呟き、城門に近付いた。
固く閉ざされているが、運よくいばらに囲まれていないおかげで開けられそうだ。
と――アリィシアはふと顔を上げる。
「これは……戦闘音?」
.