異世界の守り人
□幕間「バルガとの出会い」
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衝撃を受けた時に、金槌で頭を叩かれたようだと表現することが多々ある。
今バルガが受けた衝撃は、メガトンハンマーに叩かれたぐらいの衝撃があった。
目の前に立つのは、自分と同い年か、もしくは年下の少女である。
ルビーを思わせるような真紅の双眸に頭のほぼ上で結われたウェーブがかった蒼い髪、白い肌は雪のようで、整った面差しには幼いながらも厳しさが垣間見える。
かなり高レベルの美少女と言えよう。いや、だからと言ってバルガの反応は過剰過ぎた。
結論を言えば、バルガは一目惚れをしていた。
少女は、バルガの好みど真ん中だったのである。
そんなバルガの内心などつゆ知らず、少女はルイーダに話しかけた。
「これから出るから、一言声かけようと思ってたんだが」
「あら、もう? 少し休んでいったら?」
「夜までに着かないといけないんだ。悪いな……で、そちらは?」
少女の視線がこちらに向いた。バルガの顔に熱が集中する。
「僧侶のバルガよ。バルガ、この娘がさっき話したアリィシアよ」
ルイーダの言葉に、バルガは一瞬呆けた。次いで少女――アリィシアを凝視する。
「えぇぇ!? この娘がさっきの、巨大な魔物倒した旅芸人!?」
「……あぁ、この間の話か」
アリィシアは納得したように一つ頷いた。
「けど、何でそんな話を? ルイーダさんの、一種の失敗談じゃないか」
「うふふ、実はね」
バルガの肩に、ルイーダの手が乗った。
「彼に、貴女の仲間になってほしいの」
「な……ちょ、ルイーダさん!」
焦ったような声を出すアリィシアに、ルイーダはお構いなしにバルガを突き付ける。アリィシアに接近することになったバルガは半分混乱状態だった。
「どうも貴女は仲間を作りたがらないようだけど、そしてなまなかな旅人じゃ貴女に付いていくことは難しいでしょうけど、彼なら大丈夫。私が保証するわ」
ね、とこちらに向かって片目をつむるルイーダ。
バルガはまだ混乱しつつも、アリィシアを見る。
疑わしげな、あきらかに信用してないような顔をしている。当たり前と言えば当たり前で、いきなり現れた人間を信用しろと言う方が無理な話である。
けれど、少なくともバルガの気持ちは決まった。
「俺と一緒に、旅をしてくれませんか?」
何で敬語なんだよ、と自分にツッコミを入れるが、それが精一杯の言葉だった。
アリィシアはじっとこちらを見つめる。
探る目ではなく、また疑惑の目でも無い。
ただ見つめるだけ。
そんな視線を向けられて、どれだけたったろうか。
数秒か、数分か、数時間か。
しばらくして――
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