花炎異聞録

□第二録 現状確認
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「何か……信じられないなぁ」
「俺も信じられないがな。だがそうとしないとおめーの存在に説明がつかねぇ」
 唸る七花に、リボーンは肩をすくめるしかなかった。
 実際問題そう考える他無いのである。でないと七花の存在を否定することになりかねない。
 残った疑問はどうして七花が平行する別の世界の未来に来てしまったのかであるが、それは七花にも解らなかった。
「何でか……ちょっと前の記憶が消えてるんだ。わけあって二人旅をしてたんだけどさ、それは――それ以前のことは覚えてんのに……」
 七花の顔が歪む。
「……何か気持ち悪い。思い出せそうで思い出せない」
「……まぁそれはおいおい思い出していくとしてだ。七花」
 リボーンの呼びかけに、七花は顔を上げた。
「来てしまった理由はどうあれ、戻る方法は解らねー。帰る方法を見付けるまでボンゴレファミリーに入らねーか?」
「なっ……リボーン、またその話かよ!」
 ずっと黙っていたツナは慌てて腰を浮かした。
「いきなり未来に連れてこられた人に対して何言ってんだよ! 知らない場所に連れたことがどんなに不安か、解ってるだろっ」
「知らねーぞ。第一こいつは選んでられねぇ」
 リボーンはばっさり切り捨て、七花に向き直った。
「こんなとこじゃ、こいつはどうすることもできねー。常識も何もかも違うんだからな。さっきの真庭忍軍って奴らのこともあるし、こいつはなるべく近くに置いといた方がいい」
「っ、でも……」
 ツナはなおも家庭教師に反抗した。
「それは七花さんが決めることだし! 第一ボンゴレのことをこの人は知らないんだからっ」
 ツナの言い分はもっともだ。
 今まで説明をしてきたのは七花のみであり、こちらのことなど何も話していない。
 実際七花は最初、マフィアのことも知らなかったのだ。当然だろう。江戸時代ほど昔の日本に、マフィアという概念があるはずない。
 そして今も、リボーンの言葉に?マークを飛ばしている真っ最中である。
「な、なあ。入るかどうかはともかく、そのぼんごれってのが何か教えてくれよ」
 七花の当然の質問に、リボーンは一つ頷いた。
「あぁ。話してやるぞ。ある程度はな」




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