異世界の守り人

□プロローグ
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「アリィシアは、これからしたいことないの?」
 リッカの言葉に、アリィシアはルビーの瞳を瞬いた。
 セントシュタイン城下町。世界でも一、二を争うほどにぎやかな町にある、世界一の誉れを受ける宿屋。その主人であるリッカの質問に、その宿屋の常連である(というより旅の拠点にしている)アリィシアはすぐに反応できなかった。
 ややあって、いつもの女性らしさに欠ける口調で返す。
「いきなり……何だ。どうかしたのか?」
「どうかしたのか? じゃないよ。これからの旅、何か目的とか無いの?」
「そう言われてもな……」
 アリィシアは解いていた蒼い髪を結い上げた。
「まぁ、確かに二年前と違って今は旅の目的と呼べるものは無いけど……しかし、それは別に困ることじゃないだろ」
「そうなんだけどさー」
 リッカは不満げにアリィシアの向かいに座った。仕事はいいのか、と問うと、今は休憩中、という答えが返ってくる。
「急にパーティ解散するし、しょっちゅうここに来るし、親友として気になっちゃってさ」
「パーティか。みんな、どうしてるかな……」
 アリィシアはふ、と笑った。もう二年会ってないのだと今更気付く。
 そういえば、最近はサンディにも会ってない。
 里帰りしてきまーす! などと言っていたか。
「目的か。目的ね。しかし、言われてみればそうだな」
「でしょ。ね、目的あった方が旅も楽しいよ。仲間のみんなを呼び戻してさ!」
「それは却下」
「何でっ!?」
「総意だからさ」
 アリィシアはそう言って、羽の付いた青い帽子をかぶった。
「じゃ、また旅に出る。せっかくだし、また世界一周するかな」
「……もう十回目よ」
 リッカのあきれた声は、聞こえないことにした。




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