異世界の守り人

□いばらの城
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 城に入り込み、中庭らしき場所に出る。
 思った通り――というより思った以上の荒れようにアリィシアはまたも言葉を失う。
 おそらくかつては美しい城だったのだろう。それがうかがえるだけに、よけいこの有り様にぞっとする。
 辺りを見渡していたアリィシアは、すぐに近くにいた衛兵の姿に声を飲み込んだ。
 鎧と兜を着用し、槍を持つ姿は間違い無く兵士の姿だ。ただ一つ、違いがあるとすれば。
「手足が、いばらになっている……?」
 槍を持つ手を見、アリィシアは信じられない気持ちで呟く。
 槍を持つ手に五指は無い。どころか、肌の色ですらなかった。
 緑色の、とげを持ったいばらだ。
 脚もいばらの根としか言いようの無い形で、唯一人の形を保つ顔もいばらの色になっていた。表情は、意外にも穏やかだが。
「……いばら姫だな、まるで」
 かつて天使界で読んだ御伽噺を思い出し、アリィシアは呻く。
 あれに書かれた呪いもたいがい荒唐無稽だったが、今回はそのハイエンドだ。
 こんなこと、ありえない。
「……いや、そんなことより」
 先程から聞こえるこの戦闘音のところに行かなくては。アリィシアは中庭を横切り、城の中に足を踏み入れる。
 おそらく大広間であろうその場所。そこには竜の姿をしたいばらの魔物と。

 赤いバンダナをした一人の青年が戦っていた。




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