異世界の守り人

□異世界の住人
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 翌日、エイトは剣の訓練をしているアリィシアを見つめていた。
 蒼い髪と青いマントをひるがえしながらくり広げられる剣舞に、エイトは息を飲む。
 強いと言うだけのことはある。彼女の剣は、極限まで洗練された美しさがあった。
 速さはそれほどでもないが、どういう風に動けば最速かちゃんと見極めている。トロデーン城では、彼女ほどの剣技を持つ者はいなかった。
 アリィシアは一通りの型を終えると、なぜか気に入らなさそうな顔をした。
 美貌を歪め、青銀の美しい刃を見下ろす。
「……やはり駄目か」
 何が駄目なんだろうとエイトが首を傾げていると、アリィシアはこちらに気付いたのか、笑顔を向けてきた。
「おはよう、エイト。早いな」
「おはよう。アリィシアこそ。それにしても凄いね、今の剣術」
「ん……私は気に入らないんだがな」
 アリィシアは肩をすくめて腰の鞘に剣を戻した。
「朝食作るの、手伝おうか? 一人じゃ大変だろう」
「いいよ。僕小間使いやってたこともあるから、料理得意だし」
 エイトは遠慮するが、アリィシアは引かなかった。
「私が好きでやるんだ。好意は素直に受け取るものだよ。……っと」
 アリィシアは一歩引いた。
 その直後にネズミのトーポがエイトのポケットに入り込む。どうやら散歩から戻ってきたらしい。
「お帰り、トーポ。ちゃんとおまえの分のチーズを用意してるからね」
 エイトが言うと、トーポはポケットの中でちぃ、と鳴いた。




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