異世界の守り人

□トラペッタ
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 トラペッタは石壁に覆われた街だった。恐らく空を飛ぶ魔物対策だろう、随分高い壁だ。
 何となくベクセリアを思い出しながら、アリィシアは辺りを見渡した。
 と。視界に煙が入ってくる。たき火か何かでもやっているんだろうかと思いながらも、足を進めた。
「アリィシア、どうしたの? 置いてくよ」
「え?」
 意識を現実に戻すと、どうやらゆっくり歩いていたらしい。エイトとヤンガスが思ったより前にいた。
「悪い、煙見てた」
「煙? あぁ、あれでげすか」
 ヤンガスがアリィシアの見ていた煙に目をやった。
 結局あの後、さんざんトロデと言い争った山賊ヤンガスは、旅の同行者になっていた。
 山賊は旅に同行する条件として足を洗い、旅の事情を話して現在に至る。
 橋から落ちかけた際に落としたらしい斧に代わり、今は棍棒を装備していた。
「何なんでしょうかねぇ。火事でも起こったんでがしょうか」
「でも、だったらもっと騒がしくない? 煙が立ってるってことは、火がまだついてるってことでしょ?」
 エイトの言葉に、アリィシアも同意した。
「確かにな。しかしその割には誰も火消しに走っては……む?」
 アリィシアの視界に、慌てたように早足で歩く二人の男の姿がかすめた。
 様子からしてどうやら消火活動をしているわけではないようだが、一体どうしたんだろう。
(ま、私には関係無いだろう)
 アリィシアはそう思い、エイトとヤンガスと共に酒場へと足を向けた。




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