異世界の守り人
□疑問
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「信じてるから、ねぇ」
エイトを見送った後、アリィシアはベッドにもぐり込んだ。
信じられるのも、仲間ができるのも、もう二年振りか。
最初にそうしてくれたのは、誰だったっけ?
「そうだ、バルガだ」
信じてくれたのも仲間になってくれたのも、全部バルガが最初だった。
長旅にはなりそうだとは思っていたものの、人間の仲間など作る気はさらさら無かったアリィシアに、ルイーダが紹介してきた青年。
当時十七だった彼は、最初僧侶だった。
グビアナを出た直後になぜかパラディンになったが――それでも、仲間の大切なサポート役だったことに変わりは無い。
いつも私を優先して自分をないがしろにしていた部分があったからよく注意したっけ……アリィシアは目を細め、昔の記憶を引っ張り出す。
大切な人だった。誰より大切で、何より大切な存在だった。
けれど、だからこそ。
アリィシアはもぞもぞと、左手をふとんから出す。左手の薬指にはめられているそれは、シンプルなシルバーリングだった。
パーティを解散する少し前にバルガからもらった物。すでに関係が断続した今もなお、アリィシアはその指環を付け続けていた。
「未練がましいな、私は」
アリィシアは顔をしかめ、目を閉じた。
続く…