異世界の守り人

□滝の洞窟
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 滝の洞窟は、名前通り滝が流れる洞窟だった。
「……まんまだよなぁ」
「そんなもんだよ、ネーミングってのは」
 エイトの呟きに、アリィシアはからから笑った。
 洞窟内はじめじめとしっけており、足元もごつごつとして歩きにくい。だからこそ、トロデとミーティアには外で待ってもらっている。
 近衛兵として訓練されたエイトに山賊時代が長かったヤンガス、旅慣れているらしいアリィシアは難無く進むことができるが、あの二人は危険極まりないだろう。
 ただでさえ。
「! 来たっ」
 魔物が出るのに。
 コウモリに似た姿のドラッキーに炎の玉を放つメラゴースト、スコップを持ったもぐらのいたずらもぐらに機械でできた鳥のメタッピー……外の魔物より断然強い魔物達には、応戦するのが精一杯だった。
 ただ一人――アリィシアを除いて。
 エイトとヤンガスと比べて、その実力は圧倒的だった。ドラッキーの羽を切り落とし、メラゴーストを真っ二つにし、いたずらもぐらのスコップをへし折り、メタッピーの胴体を串刺しにする。一方的過ぎる強さに、魔物の方から逃げ出すぐらいだ。
「ふぅっ……少し張り切りすぎたな」
 踊りながら戦う魔物、びっくりサタンを蹴り飛ばした後、アリィシアは息を整えた。
 魔物の群れの半分を実質一人で倒したにも関わらず、ものの数秒で体力を回復してしまうアリィシアに、エイトは舌を巻く。
 その後、思わず苦笑してしまった。
「アリィシア〜、君があんまり活躍すると、僕やヤンガスが強くなれないよ」
「あ……ごめん」
 アリィシアは帽子の上から頭をかいた。
「そうだな、うん。これからのことを考えると、私だけが強くなっても意味ないか」
「しかし姉御の強さにはあっしも感激したでがす!」
 ヤンガスは興奮気味にアリィシアを見上げた。
「今までとんでもない敵と戦って来たんでがしょうなぁ」
「いやぁ……あはは」
 アリィシアは苦笑した。反応に困る、と言いたげだ。
「勿論兄貴も凄いでがす!」
「え?」
 突然話を振られ、エイトは目を瞬く。
「兄貴はあっしに的確に判断してやした。その判断力はさすがでげすよ」
「あ、いや……」
「ヤンガスの言う通り」
 アリィシアがエイトの肩を持った。
「私はおまえのこと、リーダーだと思っているぞ」
「ぼ、僕がリーダー!? い、いや僕よりアリィシアの方が」
「っと。待て、エイト」
 アリィシアが顔を上げた。
「また来たぞ」
 肩から手を離し、青銀の剣を抜き払う。その動作は、惚れ惚れするほど美しい動きだった。
「じゃ、私は後方で支援するから、頑張れリーダー♪」
「……あー、もう!」
 エイトは背中の剣を抜いた。
 近衛兵としての名残である、兵士の剣を。
「行くよ!」
「おう」
「はいでがす!」
 三人はそれぞれの敵を相手にするべく走り出した。




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