異世界の守り人

□ザバン
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「うっ……!?」
 アリィシアは膝を着いた。
 ザバンの手から放たれた黒い霧は、アリィシアとヤンガスを包んだ。
 毒の霧とは違うそれに最初は戸惑ったが、今なら解る。
 今のは、呪いだ。呪いを乗せた霧だったのだ。
 そんな攻撃方法アリィシアは聞いたことが無かったが、おそらくこの世界独特の特殊攻撃だろう。
 早く解呪しなければ、戦えない。
 アリィシアは僧侶になった際に手に入れた特技、おはらいを使おうと――

「うおぉぉぉぉ!」

 アリィシアはその雄叫びに呆然とした。
「エ、エイト……?」
 首を巡らすと、兵士の剣を両手で持って走り出すエイトの姿が目に映る。
 彼は呪いをよけることができたのだろうか。いや、あの霧はかなりの広範囲に広がっていたはずだ。そうやすやすと避けられるはずがない。隣では、ヤンガスが同じく呪いに苦しめられているのに――
「っ……!?」
 アリィシアは息を飲む。
 呪いの霧の中を突き進むエイト。当然そんなこと普通できるはずがない。
 普通なら。
 エイトの前には、何か不思議な紋様をした光の壁が現れているのだ。それが呪いをはじき、かき消しているのである。
 そういえば、と思う。どうして一人呪いから逃れることができたのか、エイトに疑問を呈したことがある。
 答えは、解らないだった。エイトにも、その理由は解らないのだと。
 今、その理由が目の前にある。
 結論はこうだ。エイトは何らかの力を持っているのではないかと。
 結論が正しいかどうかは、旅の終盤に解ることになる――
「はぁ!」
 エイトの剣が、ザバンの胸を浅く斬り裂いた。ひるむザバンに、エイトは畳みかけるように肩を斬り付ける。
 それを見届けたところで、アリィシアは自分の身体が自由になったことに気付いた。どうやらこの呪い、一時的なもののようである。
「はっ」
 アリィシアはすくっと立ち上がり、剣の腹でザバンの額を打つ。
 それと同時に、エイトの剣がザバンの腹を斬り裂いた。




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