異世界の守り人

□ザバン
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 黒い霧に包まれてうずくまるアリィシアとヤンガス。それを見たエイトは、無意識の内に走り出していた。
 目の前の黒い霧はなぜが霧散していき、自分の進路を防ぐことはできない。エイトはそのまま、剣を振るっていた。
 合計三回。最後の一回は、回復したらしいアリィシアも同時に剣を動かしていた。
 それが決定打だったらしい。ザバンはぐらりと倒れ込む。
「はぁ……二人共、大丈夫?」
「それはこちらのセリフだ」
 と。アリィシアがなぜか怒ったような顔で迫ってきた。
 顔が綺麗なせいで、そうされるともの凄く怖い。
「今のは何だよ。呪いを受け付けない理由、ちゃんとあるじゃないか」
「の、呪い? 何のこと?」
「……自覚が無いのか?」
 不思議そうなアリィシアの顔。おかしい、と言いたげだ。
「……まぁいいか」
 しばらくして、アリィシアは帽子を直しながら離れた。びっくりしていたエイトはほっとため息をもらす。
 と。
「う、うぅっ……」
 ザバンがゆっくり起き上がった。かぶりを振りつつこちらに目線を向ける。
 エイト達が身構えると、ザバンはもう戦えんわ、と投げやりに吐き捨てた。
「この強さ……おまえ達、この水晶玉の持ち主ではないな」
「一言も偽った覚えが無いんだが」
「まぁまぁアリィシア。それより、その水晶玉は元々ここにあったわけではないんですね」
 エイトがそう尋ねると、ザバンは頷いた。
「随分前にこの滝に捨てられたものだ。その時額を……うぅ、また古傷が」
 ザバンは額を押さえた。確か、アリィシアが殴りつけたところである。
 エイトは苦笑しながら、ザバンに懇願した。
「僕らはそれが必要なんです。譲ってくれませんか?」
「あぁ、持ってけ持ってけ」
 ザバンは力無くそう言った後、ふと、じっとエイトを見つめた。
「水の噂で聞いたのだが、ある巨城が呪いに覆われ、一人難を逃れた人間が馬車と青衣の美剣士を引き連れて旅に出たらしい。それはおまえのことではないか?」
「……」
「……まぁいい」
 ザバンは滝の中に戻ろうとし――ふと戻ってきた。
「そいつの本当の持ち主に言っておけ。ゴミは捨てるな!」
 今度こそ戻っていったザバン。それを見送ったエイトは、アリィシアの呟きに振り返った。
「青衣の美剣士? 誰だそりゃ」

 ……君のことだよアリィシア。

 内心弱々しくツッコんだ後、エイトはため息をついたのだった。



続く…
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