異世界の守り人

□像が見た記憶
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 誰もがその声に信じられない思いだった。
 一体誰の声なのか。それを最初に理解したのはゼシカだった。
「兄さん……? サーベルト兄さんなの!?」
 ゼシカは驚愕の面持ちでリーザス像を見つめた。
 声は、なおも呼びかける。
『そうだ……その人達は盗賊ではない……だから魔法を止めるんだ』
「止めるたって……もう止まんないわよ!」
 ためにためた魔法は、とても抑えきれるものではない。ゼシカはほとんどはじかれるように魔法を放った。
 アリィシア達は慌てて避ける。火球はリーザス像に当たり、ぼうっと燃え上がった。
 大理石が燃えるはずがない。なのに、炎はゆらゆらと像の足元でゆらめいている。
 反動で倒れたゼシカは、すぐさま立ち上がって像に駆け寄った。
「兄さん、本当に兄さんなの!?」
『あぁ……そう、だ……』
 声は途切れ途切れだった。まるで無理矢理声を出してるかのように。
『死の間際……リーザス像が、私の魂のかけらを引き留めてくださった……だが、それももう、限界だ……』
「そんな!」
『ゼシカ、聞け……私を殺したのは……盗賊などでは、ない……リーザス像の瞳を見てくれ……そこに、全てが刻まれている。さあ、早く……』
 声に――サーベルトに言われ、ゼシカはリーザス像の瞳を見上げる。アリィシア達もまた、同じことをした。
『あの日、塔の扉が開いているのを不審に思った私は……』




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