異世界の守り人

□不徳の町
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   ―――

 アスカンタ城を出発してから二日目の昼間、目的地にたどり着いた。
 パルミドは、アリィシアが想像する以上に酷いところだった。
 まず、清潔感が無い。剥き出しの地面には草木は一切生えておらず、まるで砂漠地帯のようである。外には青々とした木々が生い茂っているだけに、この町だけ異空間に置いてけぼりにされたかのようだった。
 そして建物。これは、レンガを重ねて固めただけに過ぎなかった。補強も補修もされた様子は無く、下地がさらされたままとなっている。建物と呼ぶことさえはばかれた。
 まるで被災地だ、とアリィシアは思った。災害を被った町は、こんな様子なのである。
 それに鼻に付くこの臭い。すえた臭いは、おそらくこの町の不潔さによるものだろう。耐えられないほどではないが、不快ではある。
「王……本当にこの町で過ごされるのですか?」
 エイトがいぶかしげに尋ねた。ゼシカは眉間に必要以上のしわを寄せているし、ククールは身体をいかにもかゆそうにかいている。ヤンガスだけが、平気な顔をしていた。
 そして同じように平気な顔をしているのは。
「ま、確かに小汚いが、我慢できんほどでは無いじゃろ。わしは先に酒場に行っているから、おぬしらはしばらくこの町を見て回れ」

『え……』

 アリィシア、エイト、ゼシカ、ククールの若者四人衆の声が重なった。皆一様にして嫌そうな表情である。
 結局ちゃんと返事ができたのは、ヤンガスだけだった。




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