風神

□高校二年生 冬と変化と進化
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冬休み。

私は携帯をOFFにして関西にロードで来ていた。


京都には色々な旅館がある。






全てが綺麗な身のこなし。
綺麗な旅館だった。









最後は大阪と神戸を見たら帰ろうと思っていた。



大阪のロードの練習してるチームがあった。


私は遠くから見てみる。


「クライマーはいないな。」

「何?お姉さん、クライマーなん?」

赤い髪の少年が私に声を掛けてきた。

「クライマー特化のオールラウンダー。」

「なんやそれ?」

私は少年に微笑む。

「私は風があれば何処でも加速出来るから。」

私の台詞に少年が興奮する。

「グラウンドで勝負せぇへん?」

「いいよ。」

グラウンドの周回、五周の勝負。

私は圧勝する。

「お姉さん、何処の人なん?」

ボトルをくれる少年が訊いてくる。

「千葉だけど、今は神奈川にいるの。高校が神奈川だから。」

「ぐわぁっ!惜しい!うち、高校は千葉なんよ。」

少年が悔しそうな顔をしている。

「千葉なら総北に行くといいよ。あそこの自転車競技部は強い。」

「お!うち、そこを受験するんよ。やっぱ、自転車競技部あらへんと困るさかいな。」

自転車を愛してるのがよくわかる。


「お姉さんは自転車競技部におるの?」

「いるよ。箱根学園の自転車競技部のマネージャーリーダーだもん。」

私の言葉に近くの人まで叫ぶ。

「箱学!インターハイの連続優勝の!?」

「そうだよ。」

「部員の人と走っとるん?」
「そら、速いわぁ…」

という声。

「だって、最近は男子のレースしか出てないから。」

私の台詞に少年が反応する。

「風神、竜堂桜か。」

「あたり。」

「関東の大会もおもろいのいるらしいからのぉ。」

少年のそれは、ワクワクが止まらない状態に見えた。


「君はスプリンターだね。なら、頑張らないと、うちの泉田にも勝てないな。」

私の本音だ。

でも、総北に来たら、この子のメニューも組むのかと思うと私もワクワクした。









神戸は辞めて、箱根に帰る。

このワクワクのまま、メニューを組みたい。










箱根に戻ってからは寮に篭る。

自室から出ることなく、冬休みが終わり、悠理に言われるまで、それだけの日数を過ごした事にも気づかなかった。





「桜!心配するだろう!戻っていたなら、メール位しろ!」

尽八の後ろで仲間達が頷いている。

「まぁ、で?気持ちの整理はついた?」

悠理の言葉に固まる私。

「ヤバイ…大阪のロード少年見て…メニューを組みたいって帰って来ちゃった…」

私の台詞で爆笑する皆。

「桜はロード命か。こりゃ、尽八も巻島も大変だな!」

隼人の台詞で顔が真っ赤になった。

「だって!千葉の総北を受験するって聞いて…私がメニュー組めるかなとか思って…」

総北の単語に寿一が私の腕を掴む。

「箱学に勧誘しなかったのか?」

「だって、進路は自分で決めれるなら決めたらいいと思うし。」


私は本気で思う。
柵があると決めれないのだから。

「そうだな。すまない。」

寿一が私を解放する。

「私こそ…」

ムキになった。
悠理が私に微笑む。

「桜は桜でいいと思うよ。私達は桜だから一緒にいるの。竜堂は関係ない。」

高校の間の自由。

それを満喫するのも大事だと、笑ってくれる。

「悠理が一番好きかも…」

私の言葉に尽八が真っ青になった。

「いや、桜の女子友達はこいつしかいないしな…うむ…友達としてだ…」

当たり前だよ、もう。

「でも、私、受験して、大学入って、経営を学んで、桜と旅館でもホテルでも経営するつもり。」

悠理の言葉に抱きついた。

「いや…栄養士とか…スポーツ選手のサポートするとかもありだろ?」

隼人の台詞に悠理と私は隼人を見る。

「いや、桜の右腕のマネージャーだから…そう…思った?んだよな…多分…」

隼人の言葉に揺れる悠理の瞳を見てしまう。

「でも、まだ二年生だし、勉強しとけば進路変更出来るよ。」

私が悠理に微笑む。

悠理も頷く。










「もうすぐバレンタインかぁ…」

去年のホワイトデーからは最悪だった。

でも、やっぱり、お世話になった人たちにはあげたい。






悠理に相談するか。
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